つながろう!プロジェクト
- 2022/12/27 綾瀬市立中央公民館「地域のさまざまな人が事業に参加できる公民館を目指して」
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綾瀬市立中央公民館とセンターとのつながり
綾瀬市立中央公民館の指定管理者である株式会社オーエンスは中央公民館の他に綾瀬市内5つの地区センターと2つのコミュニティセンターの管理運営を行っています。
公民館事業の基本方針にSDGsの考え方を掲げたのは令和3年度からで、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)の実現を目指すというもの。これは「誰もが社会に参画する機会を持ち、排除されない」という意味です。
持続可能な開発目標SDGsが大切にしている「誰一人取り残さない」という理念そのものです。
この基本方針で公民館運営を進める中、綾瀬市立中央公民館の髙木館長は、過去のある講座に参加していた聴覚障がいの女性を思い出したそうです。講座では一緒に参加していた方が筆談で内容を伝えていました。その光景を目の当たりにし、聞こえない方が十分に内容を理解でき、楽しめる講座にしなければ。むしろ聞こえない方限定の講座を開けないか?と思い立ち、昨年2021年6月、当センターにお電話を頂いたのでした。
詳しくは「Ana Letter」の記事をご覧ください。【コラボから生まれる新しい取り組み】https://shogai-ana.com/interview024/そして2022年2月6日、髙木館長の想いが実現。「聴覚障がい者のための講演会」那須英彰のハプニング集~ろう者と聴者の違い~が開催。当日の手話通訳・PC要約筆記はもちろんの事、ヒアリングループなど、まさしく聴覚障がい者のための講演会となりました。
他機関とセンターが連携し、誰もが生きやすく、暮らしやすい社会を目指す!とても貴重な経験でした。この“つながり”はこれからも。
そして、今年度もやります!2023年2月11日(土)聴覚障がい者のための講演会「那須英彰講演会~手話の面白さと奥深さ~」
※ 綾瀬市内在住・在勤・在学の方(聴覚障がい者優先)
詳しくは、綾瀬市立中央公民館まで!
綾瀬市中央公民館のホームページ
チラシは、こちらをご覧ください。
綾瀬市立中央公民館 髙木館長にお話をうかがいました
「聴覚障がい者のための講演会」那須英彰のハプニング集~ろう者と聴者の違い~を実施したのは2022年2月6日です。これがわたしたちにとって初めての“障がい者を対象とした事業”でした。平成26年の「障害者権利条約」批准以来、誰もが障がいの有無に関わらず共に学び、生きる共生社会の実現のために公民館が果たすべき役割がますます大きくなっていることはわたしも理解していましたが、どのように取り組んだらよいのか、まったくノウハウがない状況でした。少し古いデータですが、文部科学省が実施した「平成30年度 生涯学習を通じた共生社会の実現に関する調査 研究」 では、障がい者の学習活動の支援に関わった経験がある公民館等は全体の14.5%でしかありません。おそらくどの公民館もやってみたい、やらなくてはならないという思いは共通だと思いますが、どのように取り組んだら良いかわからない状況ではないでしょうか。
神奈川県聴覚障害者福祉センターは、わたしのその思いや状況に「全面協力」という形で答えていただきました。本当に基本的な事から教えていただきました。当日はろう者や難聴者、支援者など多くの方にご来場いただきましたが、福祉センターの協力のもと公民館がこのような事業を実施することに対して、多くの賛辞をいただくことができました。
令和4年度は2023年2月11日に再度、聴覚障がい者のための講演会「那須英彰講演会~手話の面白さと奥深さ~」を実施しますが、その他にもろう者や難聴者にも参加していただけるよう、情報保障を備えた講座を2つ実施します(一つは12月に実施済み、もう一つは3月に実施予定)。 また発達障がいがある子どもたち向けの講座も8月に実施しました。今後もさまざまな関係団体のご協力をいただきながら、障がい者の生涯を通じた多様な学習機会の充実のために、微力ながら努力してまいりたいと思います。
綾瀬市文化会館等指定管理者 株式会社オーエンス
綾瀬市立中央公民館 館長 髙木 徹 - 2022/08/12 “障害者就業・生活支援センターぽむ”
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“障害者就業・生活支援センターぽむ”とは?
“ぽむ”は、障害者雇用促進法改正により「障害者就業・生活支援センター」に指定され、ハローワークをはじめ、行政機関、就労移行支援事業所、障害者職業センター、医療機関、養護学校・支援学校等と連携し、就業面および生活面における一体的な支援を行う機関です。
“障害者就業・生活支援センターぽむ”は障がい者の支援だけでなく、障がい者を雇用する企業からの相談も受けています。・障がい者に対して ①就業支援 ・就職に向けた準備支援
・求職活動の支援
・職場定着の支援②生活支援 ・生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等の日常生活の
自己管理に関する助言
・住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関する助言・障がい者を雇用する企業に対して
それぞれの障害を十分に理解したうえで、個々の障がい者一人ひとりの
特性を踏まえ雇用管理に関するアドバイス等の支援。<リンク>
障害者就業・生活支援センター “ぽむ”
http://www.tomoni.or.jp/topics/2021/02/post-132.html・障害者就業・生活支援センター概要[PDF形式:272KB]
令和4年4月1日時点で全国に338箇所設置されています。・障害者就業・生活支援センター一覧[PDF形式:717KB]
当センターと“ぽむ”とのつながり
以前から、“ぽむ”では聴覚障がい者の就労も支援しており、コミュニケーションの難しさを感じておられ、当センターのろうあ者相談員が支援に入っていました。そのような中、新たに支援をしていた聴覚障がい者の就労が決まり、昨年度と今年度、「企業向けコミュニケーション支援研修」のご依頼を頂きました。
多機能型事業所での「企業向けコミュニケーション支援研修」の様子
(参加者15名)
①聞こえない体験(グループワークと発表)
②聞こえないって?(聞こえのレベル、特性など)
③映像を見て考えてみましょう
研修に参加された方の感想(抜粋)
※ クリックすると拡大して表示します。
“ぽむ”所長の大箭忠司(おおやただし)様からのメッセージ
今回、聴覚障がいの方の職場定着支援に当たり、神奈川県聴覚障害者福祉センターの方々に、ご支援をいただき、ありがとうございました。
ご本人を対象とした業務の理解促進の研修の様子を、支援担当の職員と一緒に、私も見に伺いました。聴覚障がいの方とのやり取りの齟齬が生まれてしまうのは想定できる範疇ではありましたが、手話にも出身地により、方言のような違いがあること、その方独自の手話があることなどをお聞きし、意思疎通が難しい一端を改めて感じました。書字のやり取りに関しても、その言葉の意味や微妙なニュアンス、バックグランドなどが共通認識になっていないことがあり、「伝える」と「伝わる」の違いについて難しさを感じました。
神奈川県聴覚障害者福祉センターの方々には、本人のみならず職場の従業員向けにも研修会を開催していただきました。聴覚障がいの方との関係構築や対応方法については、一足飛びにはいかない部分もありますが、「気付き」を感じてもらえたことが第一歩と考えています。
今後も聴覚障がいの方々のかけはしとして、いろいろな企業、支援機関の方々にご協力いただけるとのことで、幅広くご相談をいただき、聴覚障がい者の就労の機会や障がい理解の促進につながることを願っています。社会福祉法人県央福祉会
県央地域就労援助センター
障害者就業・生活支援センターぽむ
所長 大箭 忠司 - 2022/07/13 茅ケ崎リハビリテーション専門学校「コミュニケーションのスペシャリストとしての言語聴覚士を目指して‼」
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茅ケ崎リハビリテーション専門学校(https://www.crc.ac.jp/)は、「人を尊び 命を尊び 個を敬愛す」を教育理念に、医療、福祉のスペシャリストとして、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の養成を行い、社会に送り出しています。
令和4年6月4日(土)、茅ケ崎リハビリテーション専門学校の言語聴覚士(ST)を目指す学生さんたちが、大石忠先生とご一緒に、神奈川県聴覚障害者福祉センターの見学にいらっしゃいました。
以下、見学にいらした学生さんから寄せられた感想を紹介させていただきます。ボタンをクリックしていただくと、それぞれの感想文が表示されます。一人ひとりと向き合う大切さ
熊谷施設長から、聴覚障がいの方とのコミュニケーションをとることは、外国の方(自分と異なる言語を話す人)と話すことに似ているという内容があり非常に納得しました。
また、前日の止まってしまった電車のお話で、私も熊谷施設長と同じ電車に乗り合わせていたので、もしその時、会えていたら何かしら状況を伝えてさいあげたかったと思いました。電車の中で、丁寧なアナウンスが流れ、私は次の駅で乗り換えることができましたが、同じ時に状況がわからず人の波にのって電車を降りる聴覚障かいの方々がいるということを考えてもいませんでした。そのような人に気付くことができる、また聴覚障がいの人も困っていることを伝えられる社会にしていきたいと思いました。
館内見学では、字幕や手話放送録画用スタジオがあったことが印象的でした。ヒアリングループという設備についても初めて知りました。遊戯室の10か月の補聴器をつけた女の子がいましたが、小さい子どもを持つ親御さんにとって、このセンターのような施設があることは大変心強いことだなと思いました。ただ、現状では県には一か所くらいとのことでしたので、全国にいる聴覚障がいの方の数に比べると十分ではないと感じました。補聴器についてレンタル、相談できるシステムはとてもいいと感じました。補聴器のお店では売ることが目的なので高価な買い物なのに十分に相談したり試したりできないという話を以前にも聞いていたからです。
最後に、相談に来た方をブザーで呼び出したりせず、まずは担当職員の方が直接声かけをして部屋に案内する、というセンターの方針がとても心に残りました。まずは直接話して、その方の聞こえの様子などを理解した上で相談にのるという姿勢に大変感銘を受けました。ひとくくりに聴覚障がい者といっても、その中には手話を使う人・使わない人がいること、難聴の程度や種類も違うこと、家族の状況も違うこと、それを理解した上で一人ひとりに向き合う大切さを感じました。聴覚障がい者と向き合うスタートライン
「私は今までなんて無知だったのだろう・・・」。それが今日の見学会の間、私が何度も思ったことです。私にとって今日の見学会は、初めて見聞きする事だらけでした。このセンターの存在も、聴覚障がい当事者に直接お話をお聞きするのも、手話通訳者の同時通訳の現場を目にすることも、手話が二種類あることも初めて知りました。今まで私の身近には加齢性難聴の祖父以外、聴覚障がい者はおらず、その存在は知りながらも気に留めることなく日常を送っていました。聴覚障がいは、「見えない障がいだ」とよく言われますが、その通りで私が気が付かなかっただけで、街や公共交通機関などで聴覚障がいの方とは何度もすれ違っていたのだと思います。その中には助けを必要としていた人もいたかもしれないと思うと、無知無関心でいた自分が恥ずかしく、無力に感じました。現代は情報化社会で情報はあふれているのに、興味を持ち情報を自分からキャッチしにいこうとせず無知でいることは、とても怖いことだと感じました。
今日このような機会をいただき、私は初めて聴覚障がい者と向き合うスタートラインに立ったような気がします。それと同時にSTは、社会に向けて、聴覚障がいについての正しい情報発信や理解の普及啓発、聴覚障がい者の代弁者として彼らの立場に立った心の通った支援が求められているのだと強く実感しました。法制化の整備により人々の情に関わるソフト面が改善されていない現状の問題点や災害時の命に関わる問題など早急な対応が求められる課題が目前にあることも知りました。また、行政だけの問題ではなく、私たちがまず周りの人の意識を変えていく、それが次第に社会を変えていく力になり、ソフト面とハード面両面から変えていければより良い社会になるのではないかと感じました。
具体的には、今日のことを家族や友人に話し、聴覚障がい者への関心、理解のスタートラインに立ってもらうことと、個人としては聴覚障がい者の言語である手話を少しずつ学び始めたいと思いました。手話の不思議な力
聴覚障がいのある子の学びについては、学校によってばらつきがあり、十分な教育保障がされていないことに対してとてもショックを受けました。この現状を多くの人に知ってもらうにはどうしたら良いのか、自分に何が出来るのかを考えなくてはならないと思いました。
手話取得については、最低5年はかかると聞き、各自めいめいのライフステージに合わせた習得が難しいなという印象を受けました。どのようなきっかけで手話通訳を目指したのかななど、手話通訳者の方にもお話を伺ってみたいと思いました。私は小学校の教員で、メールなどがない時代に聴覚障がいのある父母を持つ子(その子は健聴です)を担任されていただいたことがありますが、当時はメールなどの通信機器もなく、保護者とはFAXで連絡していました。その子は少し手話も知っていたので、手話をつけて合唱する際に、私が調べて分からない時や手話の意味が通じているかを確かめたい時などにその子に時々教えてもらいました。もうすっかり忘れていますが、ほんの少しの手話でも、難しいと感じたのを覚えています。しかし、歌に乗せると気持ちがより一層込められ、歌が苦手な子もよい表情で歌っていたことを覚えています。手話には、そうした感情の表出を手助けする不思議な力もあるのだと思います。「決まり」よりもまずは「気持ち」が大切
私自身、聴覚障がい者の方と関る機会が今までなく、何の知識もないまま参加させていただいたのですが、今回のお話を聴いて、いま自分が目指している言語聴覚士という仕事は、このような困難を抱えた方々の手助けができるとても大切な仕事であるということを改めて知りました。
また、日々の学校生活で、勉強の専門性の高さや、臨床現場に入って患者様と関わるときのイメージが出来ていないことについて、漠然とした不安を抱えていたように思います。しかし今回のお話を聴き、「人にとって生きがいとなる『言葉』に障がいを持っている方の手助けをしたい」という自分の気持ちを再認識することができました。
特に印象に残ったこととしては、聴覚障がい者は、肢体不自由者や視覚障がい者とコミュニケーションに大きな違いがあること、「見えない障害がい」であるといことです。そのために障がいが理解されにくいというところは、とてももどかしく感じました。さらに、法制度が出来ても当事者の方たちは変化を実感しておらず、状況の改善は感じていないということを知り、「決まり」よりもまずは「気持ち」が大切であるということを強く感じました。みんなが当たり前のように感じている「人にやさしくする気持ち」というものが、障がい者に対しても向けられる社会にしていくことが必要であると思いました。そのために私が出来ることとしては、まず自分自身が知識を身につけること、そしてもっと当事者の方たちのことを知る機会を増やして、その方たちの気持ちを理解することだと思いました。サポートできる引き出し
今回、聴覚障害者福祉センターの見学目的である、聴覚障がい者に対する支援内容や、言語聴覚士を目指す我々に求められていることについて、以下の2点を学ぶことができ、有意義な見学となりました。
まず一点目は、聴覚障がい者の皆様が日常の生活の中で、法整備は進んでいるものの、実感としてまだ生きづらい世の中であることを学びました。特に、日々の情報収集については、字幕がなかったり、災害時の迅速な情報が得られなかったり等、音声情報が遮断・不足されているため、アクセスビリティ対応やコミュニケーションの促進が進められているものの、実感としては難聴者の皆さんは実感がないという悲しい現実があるということです。私自身でもできることが何かを考え、「大丈夫ですか?何かできることがありますか?」と積極的な声かけをすることや、手話を学ぶことから始めようという気持ちになりました。
そして二点目は、若年層の社会的自立支援にも力を入れているという点です。今までの難聴者への雇用支援から、現在は雇用する企業に対しても幅広くフォローし、尽力することで、就職後もそれぞれの立場を尊重され、双方Win-Winになるように働きかけていることは、今後の言語聴覚士として働く際にも一方的な支援にならないよう、気を付けていきたい点であることを学ぶことができました。
今回の見学を通じて、ご相談者の一人ひとりの立場・環境に合わせて、サポートできる引き出しを持ち、的確な情報提供を怠らないようにしていくことの重要性を学ぶことができました。今後は、聴覚全般に関わる聴力検査の知識や障がいを持たれる方へ寄り添う姿勢を大切にしていきたいです。一緒に考えましょう、解決しましょう
「聴覚障がい」以外の「視覚障がい」「肢体不自由」「内部障がい」「障がい種別不詳」の方々の困り具合も、想像するに余りあるが、今回お話を聴き、自分のなかで視点が変わったのは、熊谷施設長が語った聴覚障がいと他の障がいとの『違い』についてであった。「東日本大震災の津波による聴覚障がいのある犠牲者の痛ましい死亡理由、若者が就業先で直面するコミュニケーションの問題、アイデンティティの確立の難しさなど」を聞き「言語」により生きづらさを多大に抱える点は、やはり聴覚障がいの特殊性なのだろうと感じた。しかも、外からは「気づきにくい」ことなど、聴覚障がい者と家族の孤独感を考えさせられた。
そういった意味で「言語障がい」と「聴覚障がい」は違う種類の障がいではなく、併存している、二重の障がいを抱えることなのだ、と今回改めて痛感した。例えば、日本語獲得の適切なタイミングを逃した聴覚障がいの子どもは、大人になっても読み書きの困難を抱えること。出会った教員が聴覚障がいに対応した学びを提供できなかった場合、健常の子どもとの間に学力差が生じるであろうこと。(健常の子どもたちの聞く力、読む力が担保されるという意味ではありません)今回「言語聴覚士」という名称と役割が、初めてといって良いくらい、遅まきながら腑に落ちた。
法や条例が整備されても、聴覚障がい者をめぐる環境が改善されたと「感じられない」のは、非当事者かつ一般人の私も感じるところであり、また「当事者が不満を申し出ることは少ない」という補足に、心苦しさでいっぱいになる。なぜ、申し出ることをためらうのか。いろいろと想像できることはあるが、その心理もきっと多種多様で、私はまだ聴覚障がい者とその家族の方々のことを、まだほとんど「知らない」のだと思う。しかし、もっと知って「わかりたい」と思う。
今回、センターの方々の言葉で心に刻まれたのは、来訪者に声かけするという「一緒に考えましょう」だ。補聴器は聞き取り易くはなるが、聴こえるようにはならない。補聴器や手話はあくまでも手段であり、目的はコミュニケーションが円滑になることで、誰もが自分らしい生き方を送ることだ。訓練メニューを淡々とこなすだけではない、「一緒に考えましょう、解決しましょう」と、障がい者の方々にとってまだまだ生きづらい社会を、共に歩める医療者でありたいと思う。そして、その道程で得たものを社会に「伝えられる」存在になることを目指したいと思う。「知ること」が重要なのだ
このたびの見学は、私の地元藤沢にとても充実した情報提供施設があることを知る大変貴重な機会となりました。
近年の障害者差別解消法等の法整備や「多様性尊重ブーム」が、実際に聴覚障がい者の方々をとりまく環境の改善につながっているのか興味があり、質問いたしました。お答えいただいた「法整備は進んでいるが、改善の実感は感じられないのが実情。制度より理解、配慮、声かけ、コミュニケーションなど情にかかわるソフト(人・こころ)の部分があまり改善されていない。」というお話に、やはりそうかと得心しました。
社会を動かすには人々の意識を変えることが必要で、そのためには多くの人が聴覚障がい者のことを「知ること」が重要なのだと思います。その点において、言語聴覚士が果たせる役割があるのではないかと考えさせられました。自分に出来ることは何か
熊谷さんの電車でのトラブル発生時の話を聞き、先日自分がイヤホンをしながら電車に乗っていたときのことを思い出しました。イヤホンをして動画を見ながら電車に乗っていると、車内の放送は聞こえていないのですが、周りの人たちがそわそわし出したのを感じました。情報を得ようとイヤホンを外してみても、車内アナウンスは流れた後だったので状況が分かりませんでした。しばらく経った後、またアナウンスが流れて状況を知ることができましたが、その間はどうしたら良いのか分からない、不安な気持ちでした。熊谷さんのお話を聞き、もしそのような状況で隣に聴覚障がいのある方が座っていたら、ぜひ情報を伝えたいな、と思いました。しかし、その時隣に座っている人が聴こえているのかいないか、かつ、困っているかどうかを判断するのはなかなか難しいな、と考えました。そんな時にお互い気軽に声をかけ合える世の中になるように、自分に出来ることは何かを考えながらこれから学んでいきたいと思います。
人により最適なコミュニケーション方法は異なる
視覚障がいを持つ方と道端ですれ違うことが私の把握している限りでは週二、三度ほどあるため、神奈川県内の身体障害者手帳交付数が視覚障がいより、聴覚・平衡機能障がいの方が多いと知り衝撃を受けました。聴覚障がいが「見えない障がい」だという話は以前から知っていましたが、改めてその言葉の意味を実感しました。
また、神奈川県聴覚障害者福祉センターでしか実施していない事業もあるとお話がありましたが、手厚い支援を受けられる場所が限られているとどうしても聴覚障がい者の生活の行動範囲が狭くなってしまいそうだという懸念が生じました。同時に、藤沢市にこのような施設があったことを今回初めて知り、施設で行っている事業を詳しく教えていただいて非常に感服致しました。補聴器試聴・貸出も行っていると伺い、以前高額な補聴器を購入したものの合わなかったのかすぐに捨ててしまったという私の祖父(県外在住)も、こうした施設を利用していれば合う補聴器を見つけられたかもしれないと少し心残りが生じました。
筆談があれば何とかなると漠然と思っていましたが、人により最適なコミュニケーション方法は異なることを知ったため、今後は会話手段を増やせるように手話を少しずつ覚えていきたいと思います。人と関わる経験の大切さ
今回の見学は、今まで知らなかったことをたくさん知ることができ、私にとって大変貴重な経験となりました。ですが、勉強していく身としては、ほんのきっかけに過ぎず、学ぶ・関わっていくスタートに立つ気持ちが芽生えたというところだと思います。貴重な時間をさいて、私たちに伝えようとしてくださったことを、私もしっかり受け止め、一過性の学習ではなく、今後も学び続けて、行動に移して行きたいと思いました。まずは、手話が少しでもできるようになりたいと思いました。小学生の娘も興味をもっているので、親子で参加できる勉強会等を探してみようと思います。
熊谷施設長からのお話しで、一番印象に残ったことは、「思い通りにいかないこともある、ということを教える。」ということです。
以前、難聴のお子さんの対人関係の行動で、これは本人のためにも指導した方がいいのではと思うことがありました。でも、わざとじゃなかったら・・・聞こえにくさによるものだったら傷つけてしまうのではないか・・・。と悩みました。複数回、複数の教員で事実確認しましたので、指導しましたが、なぜかハッキリ言いづいと思ってしまいました。決めつけで叱らないことは大切ですが、お話を伺いながら、変にためらっていた自分の気持ちは、結局、差別や偏見と同じだったのだとわかりました。コミュニケーションの指導や、人と関わる経験の大切さは、障がい関係なく、やはり生きていく上で重要で必要なことだと感じました。無理させず、本人の意向を尊重しつつ、でも学校で経験がつめるような機会を多く作っていきたいと思いました。 - 2022/03/16 鎌倉市障害者二千人雇用センター「専門機関の連携から生まれる、より充実した就労支援」
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「鎌倉市障害者二千人雇用センター」とは?
障害者の就労に関する支援、職場定着や生活に関する相談のほか、障害者雇用を検討している企業や、すでに障害者を雇用している企業などの支援を行っています。
鎌倉市では障害者二千人の雇用を目指して取り組みを行っており、到達目標をそのままセンター名にされたそうです。<リンク>
鎌倉市障害者基本計画における障害者二千人雇用事業内容はこちら
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/syougaijisha/2000koyo.html鎌倉市障害者二千人雇用センターのHPはこちら
http://koyoucenter.extrem.ne.jp/
当センターとのつながり
「鎌倉市障害者二千人雇用センター」から、聴覚障害者の就労に関する情報や支援についてお問い合わせを頂き、当センターから以下のことをお話しました。
・聴覚障害者の特性
・職場でのコミュニケーション不足やズレなどが原因で退職してしまうケースが
多いこと
・上司との面談や社内研修など必要に応じて手話通訳などをつけてほしいこと
・企業向けコミュニケーション支援研修の紹介と企業への周知依頼などその後、「鎌倉市障害者二千人雇用センター」・鎌倉市障害福祉課・鎌倉市内の障害福祉サービス事業所の職員の方々を対象に聴覚障害についての研修を行いました。
「聴覚障がい者とのコミュニケーション」研修の内容
①グループワーク(聞こえない体験と発表)
②聞こえないって?(事例と動画)
③事例検討(一緒に考えてみましょう)
研修に参加された方の感想など
ご報告
鎌倉市では令和3年7月「鎌倉市視覚障害及び聴覚障害者等の情報取得等の手段についての選択の機会の確保に関する条例」が施行されました。
当センターの研修会も契機となってか、「鎌倉市障害者二千人雇用センター」では派遣費用を負担し手話通訳等を鎌倉市に依頼されるようになりました。それだけでなく音声認識ソフトの有効性を確認し、聴覚障害者の雇用を予定している企業側にも活用を提案するなど、聴覚障害者のコミュニケーションについて具体的な方法もしっかりと伝えられています。2022年 3月 16日 掲載
- 2022/03/16 障がいのアナ 「手話って最強な言葉!」
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「障がいのアナ」とは?
「障がい」や「福祉」の情報を発信する団体で、その代表をつとめる小川優さんはフリーアナウンサーとしても活躍中です。
感性がゆたかで、柔らかさの中にも鋭さがある方。「すべての人のすべての想いを大切に柔らかい社会を目指して…」と語る小川さん、それを一つ一つ行動に移されている素敵な方です。
以前、藤沢での「咲(え)む」上映会で司会をつとめられたとき、舞台裏では手話が飛び交い、進行の指示や確認などが行われていたそうです。『舞台の上手と下手、離れた場所でも的確に意思が伝えられる。手話ってすごい、最強の言葉ですよね!』とおっしゃっていたのが印象的でした。
「Ana Letter」の記事はこちら
紹介記事①【コラボから生まれる新しい取組み】
https://shogai-ana.com/interview024/紹介記事②【「聞こえない」で終わらないコミュニケーションを】
https://shogai-ana.com/interview025/当センターを紹介いただいた「Ana Letter」はこちら
https://shogai-ana.com/2022年 3月 16日 掲載